萩原健一さんを偲んで

グループサウンズのヒーローがまたひとり消えた。

Mr YUYAとの別れもまだ済んでいないのに……

タイガースのジュリーと並んでトップスターを争った

テンプターズのショーケン。

テンプターズの「忘れえぬ君」が大好きだった。

イントロの松崎由治くんのギターが好きだった。

NO NO NO」のハモリがまた好きだった、

世に騒がれたローリングストーンズっぽさより、

自分は先日亡くなったスコット・ウォーカーのいた

ウォーカーブラザースと同じ匂いを感じていた。

グループサウンズに別れを告げ、

ジュリーとふたりヴォーカルで結成したザ・ピッグ。

頭脳警察と一緒に出た日比谷野音では商業主義と石を投げられたザ・ピッグ

しかし、そのデビューは鮮烈で新鮮で新しいビート感覚に包まれるような出現だった。

あるウェスタンカーニバルのとき、ワイルドワンズの楽屋。

仲の良い植田芳暁くん、鳥塚しげきくんらとワイワイ盛り上がっているところへ、

テンプターズの大口広司くんがやってきた。

それからどうしたんだか植田芳暁くんが詳しいので

今度話を聞こうと思っているのだが、

いたずらを仕掛ける計画が持ち上がった。

やんややんやとけしかけてきたのが大口広司くんだったのに

貧乏くじでもないが、そのいたずらを自分がやる羽目になってしまった。

三回回しのステージで、一回目と二回目は見送り、

三回目にいよいよ仕掛けることになり、

ステージに上がる前にトイレに行くと、隣にショーケンがやってきた。

連れションをしながら

PANTA、ホントにやるの?」

と言われたので、すでに引くに引けない状況の中で

「ああ、やるよ!」

と吐き捨てるように返事をしたことが記憶に焼きついている。

その後の話しは長くなるので、興味あるかたはいろいろ調べてほしいが、

ワイルドワンズが終わり、最後のフォーリーヴスの前、

頭脳警察は少女たちに向かって、

「言い訳なんかいらねえよ、てめえの〇〇〇にきいてみな」

と唄いながらズボンを下ろし、騒然となる客席を前に〇〇行為を始めたのだ。

数年前、一緒にやっていたコーラスの女の子が

ちょうど同じ時期にショーケンのユニットにいたこともあり、

ショーケンから彼女宛に電話が入り、

PANTAにマスターベーションを教えたのはオレだぜ!」

と自慢げに話して電話を切ったと伝えてきた。

話を聞いて大笑い。

「どこのだれがショーケンに教えてもらわなきゃいけないんじゃ!そんなこと中学からしてるわいっ!」

と吐き捨てるように電話の向こうに言葉を飛ばしたことも記憶に新しい。

彼の私生活には接していないし噂にしか知らない。

ただ、あの純な感性ではいろいろなところでぶつかるだろうなと予感させるには充分な

萩原健一という男との第三種接近遭遇のような思い出だ。

2019328日 

PANTA(頭脳警察)